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ヨーロッパ自転車政策先進都市より

第5回 自転車が暮らしにとけ込む オランダ アムステルダム

藤本 芳一(環境市民 理事、自転車チームちゃり民)


写真
アムステルダムのメインストリート ダムラック通り

■世界一の自転車先進国の首都

 東京駅のモデルになったとも言われるアムステルダム中央駅。ここから王宮にかけて延びるメインストリート、ダムラック通りはもともと両側で4車線の車道だったものが、現在では端から、歩道、自転車道、トラム(路面電車)、一方通行一車線のみの車道、反対行きの自転車道、歩道、と分けられている。ここではこれは特別ではなく、普通の道なのだ。自転車道と車道、歩道は厳密に段差で区別されていて、自転車が歩道を走っていけないのは当然だが、歩行者も自転車道に入ってはいけない。また自転車は必ず右側通行を守って走っている。

■自転車優先は車いじめ政策

 車を減らすため中心部ほど駐車場の料金を高くしてある。アムステルダム在住者が車を持とうとすると駐車許可証が必要で、許可証は買う必要があり、それには5年待たなければいけない。また不法駐車はまず見あたらない。ここでは不法駐車の罰金は約16万円とけっこう高い。

■アムステルダムの駐輪対策

 走っている自転車は古いものばかりだ。これは盗難が非常に多いためで、 1年間に街にある自転車の1/3が盗まれるという。オランダでは自転車の数が人口より多い。それは1人複数台の自転車を持っているためだ。ふだんは盗まれてもいい古い自転車に乗っていて、休日にはピカピカの自転車を出してきてサイクリングに行く、それがオランダでは一般的なスタイルである。
 アムステルダム中央駅前には、2400台収容の立体駐輪場をはじめ、室内、屋外、有料、無料合わせて、7〜8000台程度の駐輪場がある。しかしそれでも足りずに、駅前広場の一部が駐輪場として使われている。実はこの立体駐輪場は仮のもので5、6年先までに解体し、それまでに駅の地下に5〜7000台収容の駐輪場を作る予定だ。室内の駐輪場は盗難対策でもある。無料で乗り捨てOKのレンタサイクル構想もあったのだが、それは失敗に終わった。理由は利用者が少なかったことと盗難が多かったこと。
 街中にもあちこちに駐輪ラックが用意されているのだが、不法駐輪も非常に多い。しかし市は、交通機関の障害になるものや、古くなって乗れなくなったもの以外は撤去していないという。それは、自転車が人の役に立っていて、多少の不法駐輪はしかたがないということ。お世辞にも見た目がよいとは言えないが、歩行者のための空間が広く取られているので、不法駐輪がそれほどじゃまになるということはない。オランダでは、歩行者が第一で、次にほぼ同じ優先権で自転車。その次が公共交通で最後に車、という政策を取っている。

■自分を偉く見せる必要のない国

 郊外へ出ても、自転車専用道が続き、自転車用の標識が立っている。どこの街へも自転車道だけで行けてしまう。
 オランダでは人の上下の感覚がないそうだ。相手がパン屋のおじさんでも政治家でも同じように接する。自分を偉く見せる必要がないから、いい車に乗ろうという感覚はないし、古い自転車にも平気で乗る。女王様でさえも自転車に乗る。オランダでは自転車の平均寿命は20〜30年(ただし盗られなければとのことだが)。オランダの自転車が丈夫にできているためもあるが、質実剛健、必要以上のぜいたくをせず、ものを大事に使う伝統がある。

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