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自転車先進都市より

自転車は未来の乗り物

ヨーロッパ自転車政策先進都市より

第6回(最終回) サイクリスト協会と究極の自転車都市
― オランダ

藤本 芳一(環境市民 理事、自転車チームちゃり民)


■自転車政策の専門家集団

 自転車NPO「サイクリスト協会」は、会員約35,000人。本部はユトレヒト、支部はオランダ国内130箇所にある。資金の60%は会費から、残りは国や、アムステルダム市が出している。
 協会の方の話では、オランダでは、自転車はいつも生活の中にあり認められてきたという。それでも自転車に関心を持ってもらうことは大切だとのこと。自転車に乗ってもうためには、自転車は速かったんだ、便利だったんだということを経験して理解してもらわなければならない。そのためには走る環境を整備することが大事だという。
 サイクリスト協会の活動は、政府系の交通整備機関からの依頼で自転車の環境をどのように整備すればよいかという冊子をまとめたり、自転車で道路状況を分析する機械を開発したりしている。4年前には自動車協会とともに駐輪場の調査をし、整備のための予算も立てて政府に持っていった。そして2億ユーロ(約240億円)の予算が出て、国中の改善しなければいけない駐輪場を新しくした。
 「自転車の環境整備のためには問題点をはっきり提示する力が必要」とのことで、自転車の専門家がそろっており、政府からも信頼されている。
 サイクリスト協会では、自転車ツアーのような楽しみを広めるための活動は行っていない。理由はオランダでは自転車道や、サイクリングに関する情報が既に整備されていてサイクリスト協会が何かする必要がないからだ。また、会員になる人は「自転車に対する心がある」からだそうだ。会員になることで自転車環境の整備に貢献できるということだ。
 NPOが政府に信頼され、政府との連携ができている。また、市民もNPOを信頼し、支援することがあたりまえになった社会、オランダにはドイツ以上に社会の成熟を感じる。

ハウテンの道路網略図

図 ハウテンの道路網
出典:「自転車とまちづくり」渡辺千賀恵 学芸出版社

■自転車都市ハウテン

 ハウテンは、ユトレヒトから約4kmにあるベッドタウンで、計画的に整備されたニュータウンだ。人口は31,000人。図のように環状道路が街をぐるっと取り囲み、車で隣のブロックに行くには一度環状道路に出なければならない。中心部には幹線自転車道が走り、自転車なら最短距離で目的地に着くことができる。
 オランダ国鉄でハウテンに着いて最初に驚くのは駅前に車が全く見あたらないことだ。その代わりにたくさんの自転車が走っている。駅前には一部のタクシーを除いて車の乗り入れは禁止されている。
 幹線自転車道は、グリーンベルトに囲まれて公園の中のようだ。車が進入してもよいエリアに入っても、家の前に車は停まっているのだが走っている車はほとんどない。子どもも堂々と道の真ん中を自転車で走っている。この街では子どもをよく見かける。オランダは日本同様少子化の進んだ国だが、この街には子どもを育てやすい環境と、子どもが外でのびのびと遊べる環境があるということだろう。この街には3,000人が入居待ちしているという。

■オランダの街は未来の街

 私は、オランダの街を見ていて、これこそ未来の街の姿だと思った。オランダは世界で最も市民意識の進んだ国だと思う。伝統を大切にし、人間の上下意識のない国。世界で最初に安楽死を法制化し、同性同士の結婚も認める。王室でさえも国際結婚が当たり前の国。そんな国で人々は自転車に乗る。この国を見て私は思った。自転車こそ未来の乗り物だと。

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