【エコシティーを支えるサスティナブル・コミュニティ】
サスティナブル・コミュニティ(持続可能なコミュニティ)とは、「そこに住む人が生きがいを持ち、環境にできるだけ負荷を与えず、かつ安心・安全・安定した生活を、世代を越えて追求し続けられる身近な暮らしの場」と、私たちは考えています。環境市民では、エコシティーづくりの活動に取組む中で、エコシティーをつくる要素あるいは基礎として、より身近な場であるサスティナブル・コミュニティづくりの重要性を認識するようになりました。一方、地域社会でも、住民誰もがエコシティーづくりに関わることのできる「場」としてのサスティナブル・コミュニティの創出が求められています。
【研究のめざすもの】
環境市民がエコシティーづくりを進めるためには、住民を巻き込む(people involvement)ための戦略と方策を明らかにする必要があります。具体的に言うと、環境市民が自治体とパートナーシップで進めているローカルアジェンダ21や環境基本計画の策定では、その際の市民参画組織のコーディネート手法の開発を進めるとともに、これらの計画をコミュニティに展開するためのコミュニティ支援プログラムが求められると予測されます。
これらの要請に応え、サスティナブル・コミュニティづくりを進めるため、必要な情報のデータベース化やエコシティー実現へのプロセスに関する戦略的なマニュアル作成、サスティナブル・コミュニティづくりの担い手としてのリーダー養成プログラムの提供をめざします。さらに、サスティナブル・コミュニティに関する理論を具体化し、サスティナブル・コミュニティづくりの実践につなげていこうとしています。
【ボトムアップ型のまちづくりのモデルをもとめて】
環境市民・エコシティー研究会では、1999年以来4回にわたって「環境自治体をつくる市町村長と環境NGOの戦略会議」を実施してきました(2002年からは環境首都コンテスト全国ネットワークの主催)。この会議は、環境保護実現のためには自治体レベルにおける取組みから始める必要があり、自治体の代表者である首長の強力なリーダーシップによる自治体環境行政の刷新がそのための一番の早道であるという考えに基づき、普段あまり交流の持てない環境NGOと首長が膝をつき合わせて具体的な環境施策の戦略を議論する「人づくり」の場として始まりました。
他方で、行政の施策を実現するためには、首長のリーダーシップによるトップダウンの働きかけと同時に、コミュニティレベルでの住民の主体的活動の存在が不可欠です。しかし、現状は住民運動と行政の施策がうまくマッチングせず、あるときには反目し合ったり、せっかくの施策が存在してもそれを活かす住民がいないために前に進まないという非効率な状態が続いています。これらふたつのベクトルを、持続可能で豊かな地域社会をつくるという共通目的のもとに統合できないかというもくろみが私たちにはありました。このようなエコシティーをつくるための車の両輪として、ひとまずボトムアップ型のまちづくりについて調査研究しようという動機から生まれたのがサスティナブル・コミュニティ(SC)研究プロジェクトです。
【事例調査と学習会ですすめる研究(実績)】
サスティナブル・コミュニティ形成のためには、そのコミュニティに核となる人物が必要です。そのような人はどのようにしたら見つかるのか、育てられるのか。そのような人が生まれるきっかけは何なのだろう。何もきっかけのないところで生み出されるものか。まずは、このような役割をコミュニティで果たしている人(キー・パーソン)にヒアリングし、またSCについての専門家にもお話を伺おうと、事例調査と連続学習会を同時に開催し、報告書(「サスティナブル・コミュニティ〔ほんとうにゆたかなくらしのば〕をめざして=自治・協働・学習のプロセス=」)としてまとめました(2003年3月)。
【報告書目次より】
はじめに
[1]なぜ環境市民としてSCを研究するのか−SC研の発足と研究の目的−
[2]研究の背景−SCとは何か−
第1章 事例調査・分析編
1.奈良町(奈良市)
2.一寺言問地区(東京都墨田区)
3.コミュニティ・サポートセンター(CS)神戸(神戸市)
4.水俣市(熊本県) (付録)「インタビュー再現」付き
5.豊中市(大阪府) (付録)「インタビュー再現」付き
6.(財)公害地域再生センター(あおぞら財団)(大阪市西淀川区)
7.たもかく(福島県只見町)
8.宮原町(熊本県)
9.秋津コミュニティ(千葉県習志野市)
10.FUSION長池(東京都八王子市)
第2章 連続講座編
1.内発的地域づくりに見る地域の価値、地域の光のデザイン (三橋俊雄さん)
2.交通システムとコミュニティの豊かさ −人を結びつける交通まちづくり− (中川 大さん)
3.商店街が「生活空間」をつくる −地域が賑わうということ− (中沢孝夫さん)
4.本当に豊かな住まいとは −共に生きる・自由に生きる− (布野修司さん)
5.コミュニティを育む地域通貨 −「なーも」がもたらす可能性− (向井征二さん)
6.持続可能なコミュニティへの提案 (白石克孝さん)
第3章 総括 環境市民としての見解
SC朝まで生討論!−私たちはSCづくりをこう考える−
おわりに
サスティナブル・コミュニティをめざして
−環境市民の会員ボランティアと持続可能なコミュニティづくり−
能村 聡(京のアジェンダ21フォーラムコーディネーター)
【これまでの経験を生かして】
2003年度からはこれまでの経験を生かして、京都市伏見区の醍醐地区の方々といっしょにグリーンコンシューマーの普及を中心とした「環境まちづくりのプロセス」を専門的見地からサポートしています。
コミュニティは「環境」だけで成り立っているわけではありません。地元の人材育成や合意形成の手法、人間関係づくりや、環境を「安心安全な子育て」や「防犯」、「高齢者福祉」、「モビリティ(移動の容易性)向上」など地域として当然持っているニーズとつなげていく総合的な視点を持って地域と接する心構えが必要になります。
継続的に地域に関わっていくことで地域(自分自身も!)が目に見えて変わっていく。たいへんやりがいのある活動です。今後も地域を主体とした様々な関係者の適切な役割分担を図りつつ、パートナーシップで環境まちづくりを進めていくとともに、これらの活動を職能として確立させていきたいと考えています。
■活動内容(実績)
京都市伏見区醍醐地区の女性会の方々、子育て支援のNPO法人伏水サポートネットワークと共催で「はじめよう、広げよう、環境にやさしい暮らし」連続講座を2003年7月〜11月にかけて7回にわたって開催しました。
■これからの活動方針・活動予定
1年間にわたり、醍醐地区の住民の方々と共に実施した連続講座での経験を生かして、さらにコミュニテレベルからの環境まちづくりをサポートしていきます。SC研は、これまでは連続講座などの企画やスタッフを提供するという役割を担ってきましたが、コミュニティ自身の力をつけ、本当の意味でパートナーシップを組んで活動していくために、環境まちづくりのプロセス自体の支援にも力を入れていきたいと考えています。
2004年6月11日〜13日にかけて、地元の大規模スーパー、地域女性会、NPO法人伏水サポートネットワークと共催で、買い物ついでに参加できる親子向けのイベントを開催予定です。これは地域ニーズを掘り起こすとともに、地域で主体的に活動できる人材発掘・育成、ステークホルダーの関係の深化等を目的として実施します。
また、「CEFサステナブルコミュニティ・サロン」と題して、サスティナブル・コミュニティづくりを実践されている方を講師にお招きしての勉強会も定期的に開催していきます。この勉強会はこれまでに2回行いました。講師と内容は以下のとおりです。
第1回(2004年3月17日)「醍醐コミュニティバスがつくる持続可能なコミュニティ」
講師:能村聡さん(本会会員、京のアジェンダ21フォーラム事務局コーディネーター)
第2回(2004年4月21日)
「ステークホルダーの応答関係に基づく排除ではない公園野宿者問題の打開策」
講師:永橋為介さん(本会会員、NPO法人コミュニティ・デザインセンター副代表)
第3回(2004年6月中) 内容、講師は未定。
今後も、定期的にミーティングや勉強会を行っていきます。コミュニティレベルからの環境まちづくりに興味をお持ちの方のご参加をお待ちしています
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