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環境市民の「グリーンコンシューマー活動」
   
   

堀 孝弘

日本のグリーンコンシューマー活動の草分け

 環境市民とその前身団体のひとつ「ごみ問題市民会議*1」は、「グリーンコンシューマー活動」を、日本ではじめて具体的な活動として実践し紹介したグループです。1988年、イギリスで発行された「グリーンコンシューマー・ガイド」が、現地の市民や流通事業者に大きな影響を与えたことを知ったごみ問題市民会議のメンバーたちは「日本でもグリーンコンシューマー・ガイドを作りたい」と考えました。しかし、当時は、企業の情報公開の姿勢は現在ほど熱心ではなく、スーパー本社の環境対策を調査しようとすれば、多くの困難が予想されました。
 しかし、日々商品を購入するのは、地域のお店ですし、買い物に行く店がどのような取り組みや品揃えをしているか、調べることならできます。そこで「ごみ問題市民会議」は、1991年、京都市内のすべてのスーパーマーケット(204店)に出向いて調査し、その調査結果をまとめた「かいものガイド・この店が環境にいい」を自主出版しました。これが「地域版グリーンコンシューマー・ガイド」の最初のものです。ここでは、調査した204店の、有機野菜のあつかい、はかり売り、などの取り組み、品揃えを調べ、かつ環境に配慮した買い物の具体例を紹介しました。

* 1 「ごみ問題市民会議(事務局・京都市)」。環境市民は同会議からグリーンコンシューマー活動を継承

 
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買い物ガイド・この店が環境にいい第2号

地域版グリーンコンシューマーガイドの影響

 この「かいものガイド・この店が環境にいい」は、A5版72ページの小さな冊子でしたが、「環境白書」で紹介された他*2、大手シンクタンクも購入するなど、印刷した3,000部は数カ月で完売しました。
 92年12月に発刊した第2号では、各スーパーの環境配慮度をランキングして上位店を発表するとともに、第1号調査時と比べて、環境配慮度が向上したかどうかもわかるよう掲載しました。
 当時は、各地の市民団体が、空き缶や牛乳パックのリサイクル活動をはじめた頃でしたが、一方で、リターナブル容器がどんどん減り、使い捨て容器が増え、空き缶などをリサイクルすることが「地球にやさしい」と表現されることに疑問をもつ市民グループもあらわれていました。そのような状況で、「かいものガイド=地域版グリーンコンシューマーガイド」作りのような活動は、市民が流通、生産事業者に対して影響力をもつことのできる、市民活動の新しいスタイルを示しました。

 *2 平成6年版「環境白書」総説

地域版グリーンコンシューマーガイドを生み出した力

 「地域版グリーンコンシューマーガイド」はイギリスのものと違い、地域の店鋪そのものを調べ評価したもので日本でうまれたアイデアです。たしかにオリジナルとはずい分違いますが、このアイデア・アレンジは、日本各地にグリーンコンシューマー活動を広める大きな力となりました。
 海外の先進的な取り組みにふれても、少しハードルを感じると「あれは外国のこと」と言いあきらめる人がいます。大事なのは活動の目的が何か見据え、自分たちの事情にあわせて、より良いものを生み出す発想力と柔軟性です。市民団体は資金・人材等制約が多く、その限られた力を活かすためにも発想力が重要であり、アイデアを生み出す力は財産そのものと言えます。

全国に広がるグリーンコンシューマー活動

 92年に環境市民が発足し、ごみ問題市民会議からグリーンコンシューマー活動を継承しました。93年以降は、環境市民が、全国の市民グループや自治体に向けて、グリーンコンシューマーの考え方や地域版ガイドづくりの普及・啓発につとめてきました。とは言え、この当時、「グリーンコンシューマー」など言っても、「そんな、ややこしいカタカナ語使うな」という反応もあり、一朝一夕に広まったわけではありません。
 94年には、環境市民は思いを同じにするグリーンコンシューマー研究会(東京)、中部リサイクル運動市民の会(名古屋)、西日本リサイクル運動市民の会(福岡)など、全国の3団体と「グリーンコンシューマーネットワーク」を結成しました。当時、グリーンコンシューマー活動を実践・啓発していたのは、この4団体の他、あと幾つかのグループがある程度でした。

 

 
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グリーンコンシューマーになる買い物ガイド

念願の「全国版グリーンコンシューマーガイド」出版

 94年、「グリーンコンシューマーネットワーク」は、全国の大手スーパー、生協、コンビニ68社(うち調査拒否5社)の環境対策を調査・評価し、環境を考えた買い物の実例を示した「地球にやさしい買い物ガイド(講談社)」を出版しました(94年12月)*3。この本の出版の後、取材対象としたスーパー、生協らと懇談会を実施するなど、流通事業者に直接働きかける活動に発展させています。 その後、ネットワークに参加する仲間も50団体以上に増え、97年「グリーンコンシューマー全国ネットワーク」に改組。99年には小学館から、2度目の全国版「グリーンコンシューマーになる買い物ガイド」を出版しました。

* 3 企画・作成の呼びかけは、環境市民から

買い物ゲームの開発と普及

 94年の全国版発行後、環境市民には各地の市民グループから地域版グリーンコンシューマーガイドの作成依頼が相次ぎました。また、グリーンコンシューマーの考えと実際の買い物をわかりやすく伝える体験型ワークショップ「グリーンコンシューマー買い物ゲーム」を開発(環境事業団の助成による)し、国内でのグリーンコンシューマー活動の普及につとめてきました。買い物ゲームは、自治体からの依頼を中心に年間10数回。累計100回以上実施してきました。
 94年講談社から発行された「地球にやさしい買い物ガイド」や、99年小学館から発行された「グリーンコンシューマーになる買い物ガイド」の作成では、中心的役割を果たしてきました。

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グリーンコンシューマーガイド1999・京都

地域版ガイドの新たな目標を

 1999年、環境市民は「グリーンコンシューマーガイド1999・京都」を出版しました。前回の京都版ガイド第2号発行から6年半。地域版買い物ガイドを出すグループも全国に50団体ほどに増え、それぞれさまざまな工夫が盛り込まれるようになりました。環境市民の「1999・京都」は、「地域版グリーンコンシューマーガイドの作成・発行」という市民活動の1分野を開いてきた環境市民が、もう一度、全国のグループが手本にしてくれる地域版ガイドをめざして作成したものです。
 「食の安全」の他、「安全な日用品」「ごみ減らし」など、3つの角度から店を調査し、それぞれの分野ごとにがんばり度を評価・ランキングしました。

グリーンコンシューマーガイド1999・京都の特徴

 「1999・京都」の発行当時、ちょうど「買ってはいけない」が大ヒットしていました。「1999京都」は、「いい商品と、それをあつかっている店を支持する」ことを基本コンセプトに記事を展開。「買ってはいけない」と対称的な内容になりました。
 例えば、ハムであれば、一般的なハムによく使われる食品添加物の健康への影響を、特定銘柄を例にあげて告発するのではなく、むしろ化学物質無添加のハムを作り扱っているメーカーや店鋪を応援することを目的にしました。そのため、表示の見分け方、銘柄などを紹介し、かつ、それがどの店で購入できるか、京都市内255店すべてのスーパーを調査し具体的にわかるように示しました。
 日用品でも、例えば、100%再生紙のトイレットペーパーや石けんでは、扱いの有無だけでなく、トイレットペーパーや洗剤売り場全体でどれだけ占めているかまで調べ、「夕方行けば売り切れているかも」「夕方買いに行っても安心」などがわかるよう工夫しました。
 同書は、京都市以外からも多くの注文をもらいましたが、特に、市民団体からの注文が多く、作成方法の支援講座の依頼も多くきました。

 

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ジャスコでの「温暖化防止キャンペーン」

グリーンコンシューマー分野での、自治体、企業とのパートナーシップ

 環境市民の自治体、企業への働きかけは、97年ジャスコ(現イオン)近畿カンパニーとの「温暖化防止キャンペーン」の協同実施や、2000年には大阪府と府内のジャスコ、ダイエー、マイカルと協同実施した「大阪府グリーンな買い物キャンペーン」、埼玉県、同県草加市(1999)、大分県、鳥取県、兵庫県(2000)、島根県、高松市( 2002)などで、自治体主催のガイドづくり講座の企画実施などに発展しています。
 草加市では、養成講座の受講者らが、受講後に地域のスーパーを調査し、ガイドを作成・発行しました。兵庫県からは、県内消費者グループの店鋪調査結果を、グリーンコンシューマーガイドにまとめる作業を依頼され、これを作成するなど*4、さまざまな形の成果を生み出し、かつ取り組み内容も深化させてきました。

* 4 「グリーンコンシューマーのためのひょうごのお店リスト」環境にやさしい商品評価委員会 2000年12月発行

有力企業といっしょにグリーン市場を育成

 環境庁(当時)の呼びかけで1996年2月に結成された「グリーン購入ネットワーク*5」には、国内有数の企業が幹事団体として参加していますが、環境市民も同ネットワークの立ち上げ時から幹事団体として参画してきました。他、グリーンコンシューマー全国ネットワークに加入する多くの市民団体も参加し、電化製品、照明器具、自動車、文具、衛生紙など、多くの分野の「グリーン購入のための製品ガイドブック」の作成・発行に協力してきました。
 このような活動を通じて、企業や自治体ともいっしょにグリーン市場形成のための具体的な活動を展開してきました。その成果は、2001年4月施行された「グリーン購入法」などに反映しています。
 また、グリーン購入活動の地域普及を目指した「京都グリーン購入ネットワーク」の結成にも、京都府や京都市などと参画してきました。このネットワークは2004年秋、発足予定です。

  *5 事務局、東京都渋谷区 (財)日本環境協会内

深化する環境市民のグリーンコンシューマー普及活動

 環境市民は、2000年以降、長岡京市、広島県府中町、津山市、福知山市、碧南市、吹田市から、環境基本計画やローカルアジェンダ21の策定市民会議のコーディネートを依頼され、これを実施してきました。この中でも、地域でのグリーンコンシューマーの育成を重要なテーマとして取り上げています。
 2001年度以降、毎年継続実施している「日本の環境首都コンテスト*6」では、自治体への質問項目の中に、グリーンコンシューマーリーダー養成講座の実施やガイドブック作成への市民支援の有無などを問う項目を入れ、自治体施策へのグリーンコンシューマー活動支援の浸透をはかっています。
 2002年4月開所した京都市の環境活動、学習支援施設「京(みやこ)エコロジーセンター」では、構想段階から参画し、グリーンコンシューマーの考えをベースに展示を企画構成しました。開所後は、同センターと協力して、グリーンコンシューマー情報の市民発信につとめてきました。
 気候ネットワークはじめ京都市内のNGOや消費者団体とは、共同で「省エネラベル」を開発し、2002年以降、家電販売事業者、行政等と協力して「省エネ製品グリーンコンシューマーキャンペーン」を実施し、省エネ性能の高い家電製品の普及につとめてきました。同ラベルは各地の自治体の関心を集め、全国に普及する勢いをみせています。

 *6 環境首都コンテスト全国ネットワーク(現在全国11団体で構成)の主催。環境市民は主幹事団体

次は、新しい「暮らしの豊かさ」を提案するガイドを

 現在、次の京都版ガイドを作成中です。グリーンコンシューマーは日常的な「買い物」から、誰でもできる環境行動を提案するものですが、次号ではより暮らしにウェイト(重き)を置き、地域に根づく、自然や風土に基づいた暮らしの知恵を現代に活かす“新しい豊かさ”を創造するガイドブックをめざしています。
 店の紹介も、スーパーではなく伝統的なものづくりを守っている店、はかり売りなどおもしろい売り方をしている店の情報に力点を置きます。これまでの観光ガイドでも、このような情報を盛り込んだものはあったかもしれませんが、徐々に失われ、点在するようになった京都のよさをつなぎあわせたような観光ガイドと違い、「地域の人たちのまちを大切にする思い」や、「まちづくりに働きかける」という視点から作成しています。
 2006年1月の出版をめざし、現在取材編集中です。詳しくは下の関連ページをご覧ください。

 新ガイド「環境市民の遊び方暮らし方」作成チーム


高い社会評価を得た環境市民のグリーンコンシューマー活動

 ここまで記しましたように、環境市民は前身団体時代から通じて十数年、グリーンコンシューマー活動の普及につとめてきました。
 これらの実績や姿勢が評価され、グリーン購入ネットワークが主催する「グリーン購入大賞」において、2004年度の大賞を受賞しました。さらに、大賞受賞団体の中で、組織内でのグリーン購入活動や消費者に対するグリーン購入の普及啓発活動の取り組みに優れた1団体に贈られる「環境大臣賞」も受賞しました。
 1998年以降毎年実施され、7回を数えるグリーン購入大賞において、環境大臣賞は組織力のある大手企業や自治体が獲得してきており、民間団体が同賞を受賞するのは初めてのことです。もちろん環境市民の活動の多くは、各地のNGO、自治体、企業とのネットワークやパートナーシップによって実現したものですが、高い評価をいただいたことを嬉しく感じています。
 今後も市民の環境活動の高揚、グリーン市場の拡大に力を尽くしていきたいと思います。環境市民の活動は、地域の地道な活動から展開していますので、ともに活動されたい方、活動に興味のある方、または活動を支援してくださる方は、環境市民京都事務局までご連絡ください。

特定非営利活動法人 環境市民(京都事務局)
 〒604-0932 京都市中京区寺町二条下る呉波ビル3階A
 TEL 075-211-3521 FAX 075-211-3531
 E-mail: life@kankyoshimin.org(代表)  

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