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堀 孝弘
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The Greenconsumer Guide |
グリーンコンシューマーのはじまり
グリーンコンシューマーという言葉がいつから使われるようになったかと言うと、 1988年9月、イギリスのジョン・エルキントンとジュリア・ヘインズが共著で「グリーンコンシューマー・ガイド(The
Greenconsumer Guide)」を出版してからです。
当時、ヨーロッパはチェルノブイリの原発事故や北海でのアザラシの大量死、ライン川の汚染、酸性雨の深刻化など、さまざまな環境危機が相次ぎ、人々の関心を集めた時期でした。しかし、日々の暮らしの中から何をしていいのかわからない、というのが多くの人の思いでもありました。
市民のもつ大きな力
そのような時、発行されたグリーンコンシューマー・ガイドは、イギリスの人たちが日常的に購入し利用する商品が、おもにどこでどのように作られているか、使用時、廃棄後、どのような環境影響を与えているかなどを紹介し、また、どの店(スーパーチェーン)が環境対策に熱心か調査し、その結果を5つ星満点で評価し公表しました。
「消費者」と言うと、“消し費やす者”と書き、社会の末端の存在のようにも感じます。しかし、私たち市民には「購入」という力があり、環境負荷の少ない商品を選ぶ、環境対策に熱心なメーカーや商店を選ぶことができます。それによって、事業者のものづくりに影響を与え、ひいては、アフリカ、アジアなど途上国や自分たちの住む地域の環境保全、地球規模の環境問題の改善にも貢献することができることを紹介しました。
新しい市民運動としての「グリーンコンシューマー活動」
グリーンコンシューマー・ガイドは、第1版が30万部も売れました。イラスト、グラフなど少なく、全編ほとんど字が埋まっている、とても地味な本ですが、当時の人たちの要求に合致したのでしょう。
翌年、同じ著者から、テーマを「どの店が環境対策に熱心か」にテーマを絞った「グリーンコンシューマーのためのスーパーマーケット買い物ガイド(The
Greenconsumer's Superrmarket Shopping Guide)」が続編として出版されました。同書のスーパーの評価が、イギリス小売業の売り上げに影響を与える出来事もありました。88年の第1版で3つ星だったスーパー業界第2位のテスコが、環境対策を企業経営の最重点課題と位置付け、89年の続編では5つ星の評価を得ました。一方、業界売り上げ1位のセインズベリーは第1版で4つ星評価を得ましたが、続編でも4つ星評価のままでした。この後、テスコはセインズベリーを売り上げでも抜き、業界1位に躍進しました。
グリーンコンシューマー・ガイドのもたらした情報が、“川上”と形容されるスーパーなどの流通事業者に影響を与えたわけです。これは新しい市民運動として、ヨーロッパ諸国だけでなく、台湾や韓国などでも翻訳版や現地版が出版されました。
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The Shopping for a Better World |
市民が企業を評価する
もうひとつ、グリーンコンシューマー活動の手本があります。1989年アメリカの経済優先度評議会という市民団体が出版した「より良い世界のための買い物(The
Shopping for a Better World)」です。この本は、おもに株式投資家に向けて、企業の環境対策だけでなく、女性を役員に登用しているか、有色人種の雇用差別をしていないか、軍需産業との関わりはあるか、人種差別している国と貿易していないか、地域のコミュニティに貢献しているか、従業員の福利厚生に力を入れているかなど、
7つの指標からそれぞれ6段階に評価して示しました。日本では企業評価と言うと、ほとんどが資産や株価など経営状況だけを見ていますが、「より良い世界のための買い物」は、企業を社会的責任の達成度から評価したものと言えます。
当時のアメリカは、若年時代、ベトナム反戦運動や女性解放運動、黒人公民権運動などに力をいれた人たちが壮年期を迎えた頃でした。ある程度の収入を手にするようになった彼らの中には、将来設計のための投資を、自分の思いに合致する企業につぎこみたいという思いをもった人も多く、そのような人たちにとって重要な情報源となりました。
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買い物ガイド・この店が環境にいい |
日本最初のグリーンコンシューマー・ガイド「かいものガイド」の出版
イギリスの「ザ・グリーンコンシューマー・ガイド」が流通事業者に大きな影響を与えたことを知った、京都の「ごみ問題市民会議*1」のメンバーたちは、日本でもグリーンコンシューマー・ガイドを作りたいと考え、1991年、京都市内の全スーパー
204店の環境対策や環境に配慮した商品の品揃えを調べ、日本で最初の地域版グリーンコンシューマーガイド=「買い物ガイド・この店が環境にいい」を発行しました。この地域版グリーンコンシューマーガイドづくりは、日本でうまれたアイデアであり、この後、日本各地にグリーンコンシューマー活動が広まっていく大きな力になりました。
同じ頃(91年)、東京のバルディーズ研究会(後にその1部会が「グリーンコンシューマー研究会」となる)も、企業の環境対策をアンケートしその結果をまとめた「グリーンコンシューマーレポート」を出しています。後に環境市民と同研究会の協力が、「グリーンコンシューマーガイド全国版」作成や「グリーンコンシューマーガイド全国ネットワーク」結成の原動力となりました。
*「ごみ問題市民会議(事務局・京都市)」。環境市民は同会議からグリーンコンシューマー活動を継承
市民から“川上”への発信手法
ちょうど、90年代の前半は、各地で缶飲料やトレイ、牛乳パックなどの「リサイクル活動」が市民グループによって自主的に取り組まれていました。しかし、リサイクルしても、空き缶等はどんどん増加し、追い付かない状態もあり、「発生抑制」の大切さに気づいた市民グループも多くありました。しかし、“川上”である流通事業者や生産者に市民グループから働きかける活動手法がわからず、黙々とリサイクルに取り組んでいたグループもありました。
京都で作成された「かいものガイド」は、市民グループが、地域の市民だけでなく“川上”に自分たちの考えを発信する手法を示しました。京都版グリーンコンシューマーガイドの発行後、各地でグリーンコンシューマーガイド地域版が作成され、その数は50以上にのぼっています(2002年秋)。
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地球にやさしい買い物ガイド |
「全国版グリーンコンシューマーガイド」の作成・発行へ
1つのグループにできないことでも、幾つかのグループでネットワークを組めばできる可能性も高くなります。94年、環境市民と東京のバルディーズ研究会、名古屋の中部リサイクル運動市民の会、福岡の西日本リサイクル運動市民の会といった、思いを同じにするグループは、協力して全国の大手スーパー・生協の本社の環境対策を調査・評価し、「地球にやさしい買い物ガイド」として講談社から出版しました。
その後、「グリーンコンシューマーネットワーク」を結成。全国版出版後、調査対象となった流通企業・生協の環境担当者を招き、懇談会を開催。ガイド作成を、企業と市民団体のパイプを広げることに結び付けました。97年には「グリーンコンシューマー全国ネットワーク」に改組。50以上のグループが参加しました。99年には、同ネットワーク編集により、小学館から「グリーンコンシューマーになる買い物ガイド(全国版第2号)」が発行されました。
自治体や企業に広まるグリーンコンシューマー活動
1996年2月、環境庁(当時)の呼びかけにより、企業や自治体、市民グループなどセクターを越えた「グリーン購入ネットワーク(GPN)」が結成されました。企業や自治体も大量の商品や資材を購入する「消費者」であり、これらの商品購入を環境に配慮したものに変えていくため、冷蔵庫や自動車、文具など商品群ごとに「グリーン購入ガイドライン」を策定し、「グリーン購入のための製品ガイドブック」を発行するなど、具体的な商品情報を通じてグリーン購入の普及・促進につとめています。
環境市民は同ネットワークの構想段階から参画し、発足時から現在まで、松下電器やNEC、東京ガスなど日本を代表する大手企業とともに幹事団体をつとめてきました。2004年度からは環境市民代表理事 本育生が、同ネットワーク代表幹事をつとめています。また2004年には、「グリーン購入大賞・環境大臣賞」を受賞するなど、グリーンコンシューマー活動・グリーン購入の普及・促進に力を尽くしてきました。
グリーン購入ネットワークの加盟団体は2004年7月現在、2,803団体(企業2,184社、自治体・政府機関356団体、民間団体263団体)に広がり、2001年4月の「グリーン購入法」制定に大きな力となりました。これ以降は、「環境市民のグリーンコンシューマー活動」をご覧ください。
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