保守・リベラル・立憲主義ってなんですか? | 認定NPO法人 環境市民

保守・リベラル・立憲主義ってなんですか?

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自民党が政権を握ってからのこの5年ほどの間に、
日本の政治はおそろしく劣化したと感じています。

政治とは言葉だ、と言われますが、その“言葉”を軽視する。
耳障りのいい公約を並べて選挙後は一切取り組まない。
平気で嘘をつく。
都合の悪いことはなかったことにする。
人の話は聞かない。
だましたり裏切ったりを平気で行う。
票田にならない社会的弱者を軽んじる。
他者に対する敬意がない。

この不誠実さは政治家より前に、人として完全に失格でしょうと。
でも、なぜだかそういうものが大手を振ってまかり通っています。

一強の体制におごり高ぶった政権与党が腐敗してそうなるのはわからなくもないのですが、
興味深いのは、こういった傾向が保守や現実路線を標榜している政党や政治家に共通している点。
自民党はもとより、希望の党、日本維新の会、前原民進党。

外れたあごが戻らなくなるような恥知らずの言動が普通にスルーされて、
やはり保守でなければ、左翼のリベラルはダメだ、などと言われているのがどうにも解せません。

そもそも、保守主義ってそんなんだったか?
調べてみました。

保守の論客、中島岳志さんによると、
左翼思想が「人間の理性によって理想社会が実現できる」ことを前提としているのに対し、
保守主義は人間の理性には懐疑的で、社会的経験知・良識・伝統・慣習・宗教のように、
「人間の知性や理性を超えたものに価値を見出す」ものであると。
「その上で時代状況に合わせた、漸進的な改革をしていくべき」というのが保守の立場。
そして、「保守政治家は、共同体や地域コミュニティの中で、
『自分が一定の役割を演じ、社会的に意味ある存在であるという認識を持てる』
個人を復活させます。
すべての人に居場所と出番を与えることが保守政治家の仕事です」と言います。

ここからは、現在の「保守」政治家たちの、自分が大事、反対する者は取り合わず、
さげすみ排除するという態度も、十分な議論なく急速に社会を変革しようというのも、
本来の保守主義とはまったく相容れないことがわかります。
保守を名乗る資格なし。

では、左翼思想と混同される、「リベラル」とは?
国によって、その事情に合わせた現代的な解釈がされていますが、
もともとリベラル(自由主義)とは、封建制への復古勢力と対峙する中で生まれた概念で、
自由や平等、人権などの近代的な価値に基づき、
よりよい社会をつくっていこうとする理想主義のことを指します。

なるほど、リベラルと保守主義とは対立概念ではないと。
むしろ、日本の社会は、多様な主体がお互いに尊重され支え合う
自由主義に基づくものではなかったでしょうか。
となると、そのリベラルな価値を受け継ぐのが保守の立場なのでは。
拙速に、言論統制、国体護持、個人の自由の制限へと向かっている現代日本においては、
意識的に求めていかなければバランスが取れない方向性のようにも思えます。

ところで、「立憲主義」もよく聞かれるようになりました。
これは、憲法に基づいて政治を行うこと。
その時の権力者の恣意的運営による国家の危機を招かないための、近代国家の大原則です。
2015年に強行採決によって成立した一連の安保法制は、
日本国憲法を逸脱する違憲立法であり、日本が近代国家ではないことを示しました。

こうして調べていくと、近代的な国家において、ただの、普通の、当たり前の、
「まともな政治」が今の日本で行われていないことに愕然とします。

嘘、欺瞞、排除、傲慢はもうこりごりです。
それを平気で行っている候補者や政党の行う政治がまともなわけはありません。
公約に何が書いてあるかよりも、その人が、その政党が、日ごろ何をしているかを見ましょう。
自分の声をきちんと聞いてくれるのか、信頼できる相手かどうかを確かめましょう。
たとえばこちらのサイトでは、各候補者らの街頭演説が見られます。
*チャリツモ「みんなで作ろう!街頭演説動画まる見えマップ

そして、自分の一票を託せる先が決まったら、選挙へGO!
棄権や白紙投票は、嘘と欺瞞と排除と傲慢の党への白紙委任と同じことです。
今度の選挙は、日本国民が主権を捨て、平和を捨て、
基本的人権の保障されない国になるかどうかの分水嶺。
決して誇張ではなく、シビアに現実のことです。
10月22日(日)は、衆議院選挙へ!
期日前投票も簡単です。
(げの字)

(参考)
中島岳志さんに聞いた その1 左右の“バカの壁”を取り払おう
"リベラル"とはいったいなんだろう?
誰が首相になっても、総選挙後に必ず起こる「2つの重大な出来事」