まちの節電、こんなことできるはず 9 | 認定NPO法人 環境市民

まちの節電、こんなことできるはず 9

このコーナーは,2002年から2013年まで環境市民の事務局長を務めた堀孝弘が,在職時に書いたブログを掲載しています。

  前回、飲料自動販売機の電気代と収益の関係をみて「儲かっていない自販機も多い」と書きました。最新の飲料自販機では、庫内の断熱性を高め、午前中に庫内や商品を冷やし、夏の日中は冷えた庫内と商品自体の冷たさを利用して、モーターを止めているとのことです。これだと前回試算した電気代にはならないようです。

実際に、どれだけ儲かっていて、どれだけの電気代が必要でなのか、飲料自販機を設置している事業者から頂戴したデータをもとに紹介します。以下はその引用です(数字は丸めています)。

「自販機の儲けがいくらか気になって、昨年度1年分を調べてみました。こちら(設置者)の取り分は自販機の売り上げの20%で、それが年間約98,000円、電気代が年間約74,000円、差し引くと24,000円の収益ですが、2月に売り上げが落ち込み、そのときは、売り上げ5700円に対して電気代が7300円で、なんと1400円の赤字! 売上が少ない月はプラスマイナス0円と思っていましたが、それどころではありませんでした!」

この自販機が設置されているのは、ある大都市の屋外。そこは繁華街や商店街ではなく、常に大勢の人が通る場所ではありませんが、近くにプロのサッカーチームが使うスポーツ施設があり、試合のある時などは大勢の人が通るそうです。また、50mほど離れたところに、コンビニや他の自販機があるそうです。

上記の自販機の設置場所は、超優良地ではありませんが、決して辺鄙な場所ではありません。それでも、経費を差し引くと年間24,000円の収益。つまり、月平均にすると2,000円程度の利益しかあがりません。自販機周辺の清掃などしていたら、手間の方が多いことでしょう。

ここより条件の厳しい場所は数多いと思われます。つまり赤字の飲料自販機は、この国に数多あることでしょう。

話は変わりますが、堀が京都精華大学で教えている学生のなかに、中国から来た留学生が居ます。彼は日本に来て、飲料自販機の多さにまず驚いたそうです。昨年の夏、四国に自転車旅行に行き、ほとんど人通りのない田舎道にまで飲料自販機があることに驚かされたといいます。

赤字の飲料自販機はもちろん、わずかな収益しかあげない自販機は、この際、思い切って販売停止にしましょう。3.11後のライフスタイルを本当に考え直す必要があります。機器の省エネ性能を高めたからそれで良いというものではありません。まちのそこかしこ、さらには、ほとんど人通りのないところにまで飲料自販機があり、2台、3台並んでいる光景や、24時間営業の店の前で、自販機が店内と同じ商品を売っているようなことは異様なことです。気付いた人から声をあげていきましょう。

【追記】

写真は、本文で例示した自販機ではありません。「プロのサッカーチーム」も、自販機に描かれたチームではありません。3台も並べて売られていて、左端の回収箱に「環境にいいことしていますか」と書かれているのが、なんともアホらしくて撮った写真です。