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内部被曝の危険性

カテゴリ:被曝防止のための注意点|更新日:2011年7月21日

※この文章はみどりのニュースレター2005年5月号から抜粋しています。学習会などで活用する場合は必ず出典を明記してください。無断でのご利用はご遠慮ください。

 文/琉球大学名誉教授 矢ヶ崎 克馬

放射線に対する考え方

放射線は必ず確率的影響を持ち、微量であろうとがん等の死亡者が増加することが確認されています。主権者に対する放射線防護はきちっと「健康第一」の考え方を反映すべきです。欧州放射線リスク委員会(ECRR)の考え方は、健康を基準に置いた防護であり、ドイツ等で採用されています。他方、日本の採用している制度は「功利主義」であり、人間の健康第一ではありません。功利主義は発電等の利益を社会が享受するためには犠牲はやむをえないと考えます(国際放射線防護委員会、ICRP、第14要約)。限度値が設定されていますが、限度以下での犠牲者が出ても我慢しなさい、と「受忍を強制」するものです。
この考えの違いは「内部被曝の無視」と直結しています。ECRRは戦後の放射線犠牲者数を6500万人と推定しています。しかしICRP基準を元に推定すると、117万人です。この違いは「現実に立ち」内部被曝を認知するか、あるいは「現実を無視」して内部被曝を否定するかの違いです。X線などは検査される人一人ひとりが、被曝の危険を承知して医療的メリットをうけるものですが、原子力発電は全く違います。この受忍は個人の承諾を得ることのない「強制」です。個の尊厳を建前とする民主主義に反します。

内部被曝は深刻

内部被曝とは、放射性の埃を吸い込んだり飲み込んだりして、身体の中の埃から放射線が発射されて被曝することです。
内部被曝は外部被曝と比較して桁違いに高い吸収線量を示します。例えば、沃素131が1000万分の1グラムだけ体内に8日間留まっていた場合を試算しますと、1Svほどの被曝線量となります。内部被曝の脅威はこの数値が良く物語っています。

核戦略により隠された被曝

内部被曝はアメリカの核戦略で隠された被曝です。アメリカが日本を占領していた期間に原爆データを一切秘密管理し、「核兵器は、破壊力は大きいが放射線で長期にわたり苦しめることはない」と言う虚像を作り上げました。また、ウラン濃縮工場の経常的運転を確保するために、「危険を技術的に制御できない原子力発電」の推進を強行したのです。そのために内部被曝を隠すことが必要だったのです。

内部被曝隠しの「科学的」手法

 内部被曝隠蔽の手段は複合的で、3分野の「科学」操作によりました。
第一はヒロシマ・ナガサキの被曝現場から、放射性降下物を消し去りました(1986年の被曝線量評価体系:DS86)。枕崎台風の後で測定を行い、「かろうじて残存した放射性物質の量を始めから在った量」としました。
第2に原爆傷害研究所(ABCC、後に方影研)は被爆者をモルモット扱いにし、内部被曝は無かったという基準で被害をまとめました。初期放射線の被害は爆心地より2kmまでとし、それ以遠の被害者を「非被爆者」としました。
第3は、上記1,2、を利用して、国際放射線防護委員会(ICRP)の被曝線量評価体系から内部被曝を排除しました。

国際放射線防護委員会基準の猛威

ICRP の基準は一切の被曝の具体性を捨象し、大きな受け皿としての臓器当たりの吸収エネルギーで被曝を評価する「被曝を平均化、単純化」して評価する体系です。科学は、「物事のありのままの姿を具体的に把握し、事物の関連を探ること」ですが、具体性を一切捨象したICRPの物差しは、まさに放射線「科学」から科学の本質を抜き去る効果を発揮しました。科学論では「平均化・単純化」が科学する現場を代表するものではありえないことは明白ですが、「放射線科学」陣は単純化・抽象化を政治支配と共に受け入れて何十年も経過しているのです。「科学的に検討せず、無視するか」、あるいは権力的に相手をねじふせて安全神話を作り上げました。

内部被曝隠蔽の歴史から学ぶこと

 今回の原発炉心溶融の事態に、内部被曝を否定された被爆者の苦しみを再現させてはなりません。被爆者は原爆にやられ、その上内部被曝を切り捨てた「被爆者認定基準」によって、二重の苦しみを味合わされてきました。原爆症認定集団訴訟の全判決が内部被曝を認めて原告側が勝訴しましたが、放射線「科学」陣はこれを受け入れていません。今、政府や「専門家」たちは「安全大安売り」をして憚りません。まやかしの安全宣伝は内部被曝を増幅させるばかりです。内部被曝を最大限防護する方法を講じることこそ必要です。生身の人間としての「事実」を背負っている国民は、「個」として尊重されることを望みます。

 

 

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