おいしいってなあに? | 認定NPO法人 環境市民

おいしいってなあに?

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

私はお菓子作りが趣味で、職場に再々おやつを持っていく。
自分で作るときはかなり甘さ控えめにする。普通の人には
あまりおいしくないだろうなと思いながらも、持っていく。

ある男性職員の昼食はいつもコンビニ弁当かカップラーメン。
そんな味に慣れている人には私の作るものはさぞや頼りなか
ろうと思うのだけれど、とてもおいしいという。
社交辞令? 本当なんだろうか。

マクロビオティック仕様の大人しいスイーツを差し入れると
やはりおいしいと言ったので、突っ込んで尋ねてみると、
不思議なことを言った。
「初めて食べる味」と思うのだそうだ。最初は、なんだろう
これは、と思うらしいが、作り手が心を込めて作っていると
いうストーリーが伝わってきて、市販のお菓子とはまったく
違うおいしさが、そこには感じられるというのだ。

コンビニ弁当ははじめはおいしいと感じるらしいが、食べて
いるうちにそう思わなくなるという。おいしいものじゃない
けど、空腹を満たすために食べているのだと。

なんだ、わかっているんだ!と、ちょっとおどろいた。
すっかり殺されてしまっているいのちと、まだしっかりと
生きているいのちの違いに。それが自分の身体に与える
インパクトの違いに。
そういうまともな感性を持ちつつ、気づいているのに、
日頃はコンビニ弁当? このギャップはなんだろう。

彼は一切の料理をしない。その彼に、人間は食べたもので
できているということを説いて、まずはおにぎりを自分で
握って、昼ごはんに持ってくることを根気よく勧めている。
生きづらさを抱えている彼を、食べもののエネルギーが
変えてくれることを期待しながら。
(げの字)

─ボランティアスタッフが交代でお届けしています─