薔薇好きの故人が遺したもの〜本が語ること〜 | 認定NPO法人 環境市民

薔薇好きの故人が遺したもの〜本が語ること〜

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

訳があって、
蔵書のほとんどをなくした昨年。
これはダメだと、先日、
本を探そう!と思って、
神保町に宿をとりました。
20年以上探していた本に巡り合う不思議、
それでも、失くした本には巡り会えず。
ついつい、古本屋の主と話し込むことに。
「蔵書はその人の生きた軌跡ですよね」
と、私。
本当にそう思います、と主。
色んな本を、見せて頂いて、
ふと、薔薇の本に目が止まりました。
元の持ち主は薔薇好き。
80過ぎで亡くなるまで、
大量の薔薇の本を持っておられたそうです。
亡くなられて、
他の人の目に触れて、
そして又活かされる。
本はそんな役割も持っています。
自然に、桑原武夫さんの蔵書のことに、
話が及びました。
京都市が寄贈を受けたのに、
遺族に何の相談もなく、
廃棄した出来事でした。
どんな本を読んできたかで、
その人の人生に少し触れる、
そんな感覚は確かにあります。
薔薇好きの故人が遺したのは、
多くが英語の薔薇の本でした。
まだ、日本での情報がなかった時代、
輸入の本で知識を得ていたのでしょう。
「今はネットでどんな情報も得られるから、本は要らないと言う人も多い」
と店主の言葉。
「後には何も残らない」とも。
二冊買って帰った薔薇の本。
我が家で待つ薔薇のこと、
どんな人が読んだのか、
考えながら帰途につきました。
(ち)