有機農業は日本で広まるか、その鍵となるPGS | 認定NPO法人 環境市民

有機農業は日本で広まるか、その鍵となるPGS

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

先週末の2月23日、24日、
「全国有機農業の集い2019 in 琵琶湖」が滋賀県にて開催されました。
50年近い歴史を持つ日本有機農業研究会(日有研)が毎年行う全国大会です。
実行委員の一人として企画段階から参画しました。

日有研が発足した頃、農業も工業と同じように生産性を上げることが重要視され、
多くの化学肥料や農薬を投入することが当たり前だったと言います。
その流れにあらがい、できるわけがないと言われながら、
まだその言葉もなかった“有機農業”に取り組み技術を確立し、
有機農家らは道を切り拓いてこられました。
それから長い月日が経ち、有機農業推進法ができたり「有機農業の日」が制定されたり、
有機農業という言葉も広まってきましたが、日本では消費者の理解が今ひとつ進まず、
有機農産物の市場は海外のように拡大していません。

そこで、有機農業への理解を進め、有機農産物を普及するために、
「作る人、食べる人のつながりが大事! なんやねんPGSって?」
が本大会のテーマでした。
PGSとは参加型保証制度のこと(Participatory GuaranteeSystems)。
国の法制度の下で認証してもらう有機JASとは違い、
消費者が生産者の元に足を運び自分の目で確かめたものを
「この生産者の作るものは確かなものです」と保証するのがPGSの仕組み。
有機JASが商品流通のために作られた、“モノ”を保証する、いわば無機的な制度であるのに対し、
PGSは生産者自身を保証する、人と人のつながり重視の、まさに有機的な制度です。
有機JASのように認証に生産者の多大な労力や費用を必要としません。
PGSはインドやブラジルで始まり、
先進国にも広がってきましたが日本ではまだ具体的な運用がほとんどされていないとのこと。
有機農業をもっと広めるため、日本でもPGSの取組を進めましょう
というのが本大会での提案でした。

有機農業運動の基本は「提携」。
生産者と消費者が手を携え合い生産・流通・消費を行うものですが、
古くからの有機農業者と消費者ががっちり手を組んで閉じていると、
新規就農の農業者には入る隙がありません。
その閉じた系を開け、新しい人にも道を開くことで、有機農業の世界を拡大し、
総体として活発にしていくことをめざす野心的な目標がPGSの仕組みと言えます。
実現にはまだまだ課題が山積のようですが、
小さな芽は各地の提携団体のこれまでの実践の中で生まれているように感じます。

今年の全国大会の参加者は全国より300人以上。関心の高さや期待の大きさを感じました。
皆の知恵を集め、工夫して、制度を確立していければいいなと希望を感じた大会でした。
(げの字)

こちらに本大会のプレイベントでのPGS関連記事が掲載されています。