5 環境にやさしい活動にメリットを? | 認定NPO法人 環境市民

5 環境にやさしい活動にメリットを?

文:堀 孝弘

5 環境にやさしい活動にメリットを?

日本の現状は、より環境負荷の小さい活動をした事業者・消費者が得をするのではなく、むしろそれと逆の行動をした者が得をする仕組みになっています。
ドイツや北欧の国々で、製品・容器のリサイクルの責任を事業者に負わせているのは、そのことで、より環境負荷の小さい活動をした事業者がメリットを得るようにしています。事業者の知恵にゆだねることで根本からのごみ減らしを実現しようとしていますが、それがこれまで実施してきた高い福祉を今後も維持していくことにつながります。つまりリサイクルに投じる税金を極力少なくすることで、自治体は教育や福祉など、より住民の要望の高いサービスに傾注できるわけです。
日本でそのような仕組みへの転換は困難なのでしょうか。もともと日本が参考にしたとされるフランスのやり方は、市民からの資源ごみ収集は自治体が担い、価格への内部化で消費者から集めたリサイクル費用を、業界団体が一旦プールして各自治体に収集量に応じて配分するというものです。これなら「容器包装リサイクル法」を改定・強化することで可能でしょう。
すでに日本では自治体による資源ごみ収集が定着しています。また自治体とは別に自律的なリサイクルに携わっている人たちもいます(静脈産業)。そこで多くの人たちが働いていますので、これをベースにしつつ、容器包装材を作り使っている事業者(動脈産業)を巻き込んだ、持続できるシステムへの再構築が必要であると考えます。

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