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論文・写真・出版
環境市民のビジョン

『Fukushima Traces, 2011-2013』

3.11〈以後〉へのまなざし 福島市民が撮りつづける〈日常のなかの非日常〉

 本書は、福島市在住の赤城修司が撮影した2011 年 3 月 12 日から 2013 年 6 月 22 日に至る143 点の写真を撮影日とコメントとともに収録。

震災以前から Twitter を始めていた著者は、なんということもなく日々を呟いていたが、震災を機に(とりわけ原発事故を機に)徐々にツイート数は増え、ツイートされる写真も増えていった。福島第一原発から 60 キロ余り離れた福島市周辺の放射線の影響は、深刻な地域に比べれば少なかったとはいえ、赤城は事故後のさまざまな、かつて経験したことのな かった事象に対して敏感に反応し、カメラを向けた。記録することが使命であるかのよう に、丹念に執拗なまでに撮影はなされ、その一部は Twitter 上でコメントとともに公開されてきた。

公園に設置されたリアルタイム線量計、除染のために枝葉が切り落とされ幹が削り取られた街路樹、除染作業を告知する住宅地の看板、ブルーシートで覆われた汚染土......。赤城の写真は、その被写体のどれもが日常に侵入してきた「異物」であることにおいて共通している。Twitter における「異物」の公開は、一市民による、生活と切り離すことができな い、やむにやまれぬ行為であった。そこでは、いい写真、面白くない写真といった、従来 の判断基準を無効にする、写真のユニークな使用法が提示されているとも言える。
 
こうした震災以後の赤城のツイートは、多くのフォロワーを得るとともに、小説家の柳美里氏や美術評論家の椹木野衣氏ら広い分野の人々の注目するところとなった。さらにその活動は Twitter 上に留まらず、2013 年の椹木氏キュレーションによる「未来の体温」展への参加を皮切りに、展覧会における展示にも広がっている。(椹木氏による赤城修司についての論考は「未来の体温」展カタログ(発行=ARATANI URANO、山本現代、2013 年)お よびウェブマガジン『ARTiT』における連載 37 回、38 回に詳しい)。
 
『Fukushima Traces, 2011-2013』は、路上に亀裂が走る 3.11 翌日の写真で始まり、2013 年半ば、福島市内の著者自宅庭先に敷地内の汚染土が埋められ、新しい土で整地された写真で終る。この約 2 年 3 ヵ月の間にツイートされた厖大な記録の一部を「本」という別の 場に移行し、ほぼ日付順に構成した。
 
本書巻末のあとがきで赤城は語る。「できるだけ自分の手の届く範囲の場所を記録したいと思っている。いかに世のメディアが、復興に沸く輝く街の姿でうめつくされていても、僕は足元の僅かな傷跡を記録しておきたいと思っている」。
 
赤城修司による痕跡(traces)の収集は、現在もなお続いている。
 
写真・文=赤城修司
定価=税2,880円+税+(環境市民から発送の場合は送料80円)
発行・発売=オシリス     
ISBN 978-4-905254-05-8 総ページ数=168ページ 体裁=A5判/ソフトカバー 収録写真 カラー143点 写真キャプション和英併記
                   ブックデザイン 服部一成
                   翻訳 ダン・アビー
 
 
【申し込み方法】
お名前、郵便番号、ご住所、電話番号、メールアドレスを環境市民(メール life@kankyoshimin.org/FAX 075-211-3521)までお送りください。1週間程度で書籍をお送りいたします。
 
 
 
 
 

赤城修司(あかぎ・しゅうじ)

福島市在住、高等学校美術教員
1967 福島県生まれ。
1989 筑波大学芸術専門学群洋画コース卒業。
1994-96 青年海外協力隊員としてブルガリアに滞在して美術教師として活動。
2005-08 『福島民友新聞』紙上で 4 コマ漫画「週刊トホホ育児日記」を連載。
2012-13 『中国新聞』紙上で、「トホホ福島日記」(以降不定期)
              『毎日 RT』紙上で、写真とテキスト「From Fukushima」を毎週連載。
2013 「未来の体温 after AZUMAYA」展(山本現代、アラタニウラノ、東京)に出品。
2014 「Actinium」展(OYOYO、札幌)に出品。
           畠山直哉との二人展「Transmission」(スタジオ 35 分、東京)。
2015 年 個展「Fukushima Traces, 2014-2015」スタジオ 35 分、東京)開催。
            「グランギニョル未来」(のメンバーとして「Don’t Follow the Window」展に参加。

 

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