こんなNGO活動がされている | 認定NPO法人 環境市民

こんなNGO活動がされている

文:杦本 育生

世界には、数多くの環境NGOがありますが、実際に行われている国内外の環境NGO活動を少し見てみましょう。なお、ここにあげた活動はそのNGOの活動の一部です。
アメリカのザ・ネイチャー・コンサヴァンシー(TNC)は、希少な動植物やその生態系を守ることを中心に活動をしてきました。TNCでは保護を必要としている地域を買い取ったり、その管理を請け負ったりしています。その保護区はアメリカ国内で1300以上が設定されています。TNCは活動の基礎とするために、自然保護データーセンターを設けて動植物や土地、自然の状況についての様々なデーターをコンピューターでプログラムし、政府、企業、自治体、他の環境NGOに提供もしています。また保護された地域は一般に開放されており、ハイキングや自然観察、バードウォッチング、環境教育など様々な催しに用いられています。
ブルックナー・ネイチャー・センターは、アメリカのオハイオ州の州都コロンバスシティの郊外にあります。こんもりと茂った森の中には小さな川、谷間、草原があり多くの野鳥達の棲みかになっています。平日には近隣の小中学校から生徒達がやってきて、このセンターの専任インストラクターから三日間にわたって、自然や環境の勉強をします。また休日には家族連れや大人たちがここに来て、ハイキングを兼ねた自然観察をしてます。このような施設も環境NGOが自主的に運営しており、全米に数多く存在しています
ブント(BUND)はドイツを代表する環境NGOです。ブントは、自治体の市町村長向けに政策づくりの環境セミナーや企業関係者向けに環境に適合した経営セミナーを開催しています。また企業家や労働組合と提携してエコロジー製品の見本市の開催もしています。ハイデルベルク市では地球温暖化対策として省エネルギーの市民向け相談所を設けていますが、その運営はブントが請け負って相談員を派遣しています。ブントは核兵器や原子力発電に反対する大規模なパレードも行う一方で、池から道路へ飛びだしてきたカエルを車に轢かれないように、また池に返すというボランティア活動を夜を徹して行ったりもしてます。
グラウンドワークは、イギリスで地域環境の回復を、市民、事業者、専門家と行政の参画のもとで行なっています。イギリスでは都市部と農村部の中間にある地域が、環境面でかなりのダメージを受けていました。そのような地域において、例えば工場の跡地にあった重金属で汚染された池を、マス釣りもできるような池に再生したり、住宅団地にあった荒れ地を冒険広場に再生したりしています。このような再生計画は、グラウンドワークの派遣した専門家とともに市民参画で行なわれます。また実際の作業も市民がスコップをもって参加し、事業者も機械や資金を提供し、実施されています。また子供たちや青少年を対象とした環境活動グループの育成なども行なっています。
中部リサイクル運動市民の会は、名古屋地区を中心に活動しています。スーパーと提携してのリサイクル活動、フリーマーケットの開催、不用品交換情報誌の発行などのリサイクル活動。再生紙ノート、新聞古紙百%のコピーペーパー、無漂白のコットン下着、タオルの開発と頒布などの事業的な活動も行なっています。また『E’s』という環境問題の総合情報誌の発行、自治体へのごみ減量計画の提案なども行なっています。
アースウイークくまもとは多くのグループがネットワークを組んで、アースデー(地球の日、4月22日)を中心に熊本で多彩な催しを行なっています。講演会、自然観察会、クリーンアップなどを実施するほか、中心部の商店街と提携して、商店街の道路上で環境問題や環境活動を広報する街頭パネル展示を行なっています。またアースデーをノーマイカーデーと位置づけ地元の電鉄会社、バス会社と提携し、公共交通を使うキャンペーンを実施してています。その中で一日有効な半額割引券の発行や、周辺部の駐車場で自動車を停め公共交通に乗り換えるパーク・アンド・ライドにも取組んでいます。

次へ:活動は、こうして創られていく