1 首都コンテストまでのみちのり | 認定NPO法人 環境市民

1 首都コンテストまでのみちのり

文:杦本 育生

1.1 環境市民のエコシティー活動

2001年、ついに『日本の環境首都コンテスト』*1をスタートさせた。私の属するNGO、環境市民は、大きな目標としての一つとして「環境自治体・エコシティーをつくる」を掲げている。この日本の環境首都コンテストは、「エコシティーをつくる」ことを具体化する大きなプロジェクトである。
環境市民はここ数年間、日本の中で環境施策において先進的な考えのある自治体と様々なパートナーシップ事業をしてきている。例えば京都府長岡京市、岡山県津山市、京都府福知山市では、環境基本計画策定のための市民主体の委員会のコーディネートを受託、京都市ではエコロジーセンターの展示やソフト展開の調査研究の受託及びアジェンダ21を推進するパートナーシップ型組織であるフォーラムでの活動、埼玉県等でのグリーンコンシューマーリーダー養成講座や奈良県の地球温暖化防止員養成講座の企画運営、福井県武生市での歴史的町並を活かしたまちづくりの委員会のコーディネートなどがある。このようなパートナーシップ活動は行政のみならず地域の住民の方々とも連携する機会となり、エコシティーをつくる、重要な役割を果たすことになると考えられる。
また、環境市民の中にエコシティー研究会を設け、99年夏より「環境自治体を創る市町村長とNGOの戦略会議」を毎年8月に開催してきた。2001年は27の自治体が参加され2日間にわたり「持続可能な地域づくりと公共投資」「ローカルアジェンダ21・環境基本計画」をテーマに学習、情報交換、議論を行った。また、地域づくりの一つの核になる商店街のエコロジーな活性化の調査研究と交流、さらに自治体の中のより小さなコミュニティー単位での持続可能な社会づくりをめざす活動も調査研究と連続学習会、公共交通へのシフトに向けての調査研究も実施している。

1.2 「環境首都」との出会い

さて、「環境首都」という言葉を知ったのは、環境市民が発足してすぐの92年ごろ。フライブルク市がドイツの環境首都に選ばれたという情報であった。いまや日本で最も有名なエコシティーであるフライブルク市も、当時はあまり知られていなかった。また環境首都とはいったいどのようにして選出されたのであろうということも不明であった。ただ、その「環境首都」という言葉に強く惹かれるものがあった。
94年春に、本会では、ドイツ、スイスでの環境政策を調査するツアーを実施した。そのとき訪れたフライブルクなどで、環境をコンセプトにしたまちづくりが如何に具体化しているかを実際に目にし、日本でもこういう街が創れたら、と痛切に感じた。さらにその折に環境首都は、NGOが主催するコンテストによって選出されるのだということを知り、NGO活動の発送の素晴らしさと質の高さに感心しながらも、日本でも実施したいという途方もないことを考えた。しかし冷静に考えれば、本会にまだそのようなコンテストを主催する力はない、また日本の自治体の環境ヘの取組みもそんなにすすんでいるとはいえない。もう少し時期を待って、実現させるべきであろうと考えた。
そして96年にエコシティー研究会を立ち上げてから、ドイツ、スウェーデン、デンマーク、オランダ、イギリスなどの諸都市の事例調査や国内の先進事例調査、そして前述の活動により力を蓄え、日本の環境首都コンテストの実現につなげていった。さらに、ドイツの環境首都コンテストを主催した『ドイツ環境支援』にコンタクトをとり、その資料の入手と研究を行い、またラドルフツェル市にある同会本部を訪ね調査研究を深めた。

1.3 全国ネットワークの結成

そして2000年には各地で活発に活動しているNGOに参加を呼びかけ、コンテストの主催団体として「環境首都コンテスト全国ネットワーク」(現在9団体)*2を結成した。会議とメールでの意見交換を重ね、コンテストの質問票づくりをすすめた。昨春には、45自治体に参加をいただきプレコンテストを実施した。日本でのコンテストに求められる項目の検討より良いコンテスト実施に向けて、プレコンテストに参加された自治体には、コンテストや質問票についての意見のヒアリングを行った。
また2000年秋にはドイツの環境首都になったハム市、エッカーンフェルデ市及びドイツ環境支援からゲストを招き、全国ネットのNGOとともに全国6箇所でセミナーを開催した。このような準備を重ね、昨年11月に第1回コンテストの公募を開始した。我々の期待を上回る90以上の市区町村から参加をいただいている。1,2月にヒアリングと評価を行い、今年3月にはコンテストの表彰を第1位になった自治体を訪問して行う予定である。

*1 正式名「持続可能な地域社会をめざすー日本の環境首都コンテスト」。このコンテスト実施については、環境事業団地球環境基金の助成を得ている。

*2 「環境首都コンテスト全国ネットワーク」参加団体 十勝環境ラボラトリー、やまなしエコネットワーク、ふるさと環境市民の会、中部リサイクル運動市民の会、環境市民、未来の子、くらしを見つめる会、もったいない総研フォーラム、環境ネットワークくまもと

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