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環境市民のビジョン

10 拡大生産者責任の効果

文:堀 孝弘

 ドイツでは、飲料の全体の約7割、ビール、清涼飲料の約75%が再使用容器で販売されています(1999年)。ただしドイツの飲料メーカーは、「行政指導」だけで再使用容器を使っているのではありません。86年の「廃棄物の回避・管理法」の後、91年6月制定された「包装廃棄物政令」によって、消費者が使用した後の容器や包装は、それを利用して商品を製造・販売した事業者に回収・リサイクルする義務が負わされました。つまり「拡大生産者責任」が明確かつ厳格に導入されたわけです。
 ときどき「ドイツはリサイクルをがんばっている」と言う人がいますが、リサイクルそのものをがんばっているのではなく、消費者が使用した容器・包装の回収・リサイクルの責任を事業者(生産者)に課すことで、包装のコンパクト化や無包装化を促すなど、容器や包装材そのものを減らそうとしているのです。「包装廃棄物政令」の施行後、ドイツでは容器包装の使用量も廃棄量も大きく減っています。
 また、回収・リサイクルの責任を負わすことで、設計時からリサイクルし易い構造や素材への転換も促します。それだけでなく、せっかく回収した容器なら、つぶして資源として再生利用するより、そのまま容器として再使用した方が、手間も負担も少なくなりますから、再使用容器を採用する企業が増えるようになります。
 実際には、一社ごとに回収システムを作るのではなく、容器や包装を使っている事業者が協同出資して回収・リサイクルを代行してくれる会社を作り、そこに委託するという形を採っています。その委託料は、容器・包装を使っている量や材質によって変わってきます。過剰包装やリサイクルしにくい材質を使っていると委託料を多く支払わなければならなくなり、商品価格も高くせざるを得なくなります。
 そのリサイクルのための費用は、商品代に上乗せされる形で消費者が負担します。ですから缶などのワンウェイ容器はリサイクル費用が上乗せされるため価格が上がります。しかし自社で回収して再使用(リユース)すれば、委託料を払う必要がありません。もともとリユース容器に入った商品は再使用に必要な費用が価格に含まれているため価格も上がりません。そのため、リユース容器入り商品は、缶やペットボトルなどワンウェイ容器に入った商品より相対的に安くなります。そうすると、環境問題への関心のあるなしに関わらず、リユース容器に入った商品を買う消費者が増えるわけです。

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