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9 日本では…、処理の優先順位のおとし穴

文:堀 孝弘

 「処理の優先順位」を設けることについて、日本はドイツに14年もおくれたわけですが、単に時間がおくれただけでなく中身も問題のあるものになっています。と言うのは、ドイツの場合、「発生抑制」を実現するために「拡大生産者責任」も明確にして、ごみになりにくい製品づくりがされる条件をつくっています。つまり「処理の優先順位」だけでなく、「モノづくりの優先順位」も明確にしているのです。
 この点、日本の「循環型社会基本法」でも、事業者の責務として廃棄物の発生抑制を考えた製品づくりがなされるよう求めた条文があります。法律というのは、なかなか読みにくいのですが、意味を変えないように一部要約して紹介すると、「製品・容器の製造、販売を行う事業者は、その事業活動を行うに際して、それら製品・容器の耐久性の向上および修理の実施体制の充実をはかるなど、廃棄物となることを抑制するために必要な処置を講じるとともに、設計の工夫、材質や成分の表示などで、循環資源(リサイクルできるごみ)となったものについて循環的な利用が行われることを促進し、適正な処分が困難にならないように必要な処置をとらなければならない」*4としています。これは製品づくりの基本的な考えを示していますが、「モノづくりの優先順位」を示しているわけではありません。
 「製品・容器の耐久性を向上させ、修理の実施体制を充実」するよう求め、また処理の優先順位を定め、「再使用できるものは(技術的・経済的条件に可能で環境負荷が低いならば)再使用しなければならない」と示すだけでなく、再使用できる製品や容器が、開発・採用されるよう促す制度が必要です。それについては家電、自動車、容器など、それぞれの個別リサイクル法にゆだねられていますが、主管官庁が違うため、リサイクル法ごとにリサイクルの費用や労力負担のあり方が違い、さまざまな問題が起きています。
 例えば家電リサイクル法は廃棄時に処理費用を消費者からとる方式をとったため、自治体が不法投棄の処理と監視に多くの費用を投じなければならなくなりました。飲料容器では、飲料メーカーが再使用容器を使っても、そのことでメリットが得られるどころか、現状の制度では負担が大きくなるため、リユースびんは市場から姿を消しつつあります。
 また、もし飲料メーカーが再使用できる容器を使っても、それがごみにまぎれて排出された場合、「経済的に可能な範囲で(中略)、再使用しなければならない」という条件がありますので、そのまま分別されずに、ごみとして処分されることもあります。現在、酒の一升ビンも再使用されず、つぶしてカレットにされることが増えていますが、これも「経済的条件」でそうなっているのであって、「処理の優先順位」を定めるだけでは、このような状況を追認するだけになります。
 事業活動の最も大きな目的は利益をあげることですから、環境負荷が低いだけでなく、何らかのメリットがなければ事業者の行動を転換させることはできません。「循環型社会基本法」が施行されてから2年以上になりますが、その理念とするところが浸透するどころか、むしろ逆の状況が目につきます。つまり「処理の優先順位」を定めるだけでは実効性がないことを、この2年の状況が示していると言えます。この点、ドイツの社会システムづくりに参考になるものがありますので、次に紹介します。

 *4. 「循環社会基本法」第11条第2項

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